安定性＝人気

就職氷河期以降、当時の若年世代を中心として「安定性の高い就職先」という信仰が強まりました。

 

銀行マンや大手企業を中心とした決して崩れることがないとされていた業界でさえもバブルの崩壊に伴って大きなダメージを受けたことから、いわゆる第一次産業に属する農業、鉱業、畜産業といった社会的評価よりも安定性の確約のある業界に人気が強まったのです。

 

 

また、派手好きの人間やギャンブラー、その他大儲けをもくろむ人間にとってもこうした第一次産業はブランド化によって大収益を上げられる可能性があったために、ハイリスクハイリターンの働き方がも選べたことから人気を博し、第一次産業への回帰による経済の骨組みの再構築がなされたと評価されています。

 

安全性の高い産業

 

そうした第一次産業を業界分析した場合、その両面のバランスが特に優れているとされたのが鉱業界でした。

 

まず、鉱石というものを大きく分類すると、「鉄や鋼を中心とした単純な実用性に長けた金属」「アルミや軽金属を中心とした加工性に長けた金属(一般に非鉄工業とも呼称する)」「貴土鉱石やタンタルを中心としたハイテク技術への使用を可能とする鉱石(レアメタル)」、そして「金や銀、プラチナを中心とした金銭的価値を本質とした金属(通貨、投資対象)」の４つに分かれるとされています。

 

古代中国やインダス文明では鉄鉱石の採掘が特に盛んであり、日本に入ってきた古銭などの実用性を利用した投資対象であった反面、メソポタミア文明では通貨という概念が美術的価値と結びつけて考えられていたことから、金の採掘が盛んでした。

 

 

そのため、日本を含むアジア圏では鉱石は庶民層にも広まったので、安価で強度の高い金属採掘産業が発展し、現在でも大量生産大量消費を行っていることより安定性の高い産業になったと業界分析することができます。

 

一方で西洋圏では鉱石は貴族を中心とした広がりを見せたため、貴族や上流階級によって雇用された人間や奴隷、あるいは大洋を渡り未開の土地の先住民から貴金属を強奪した冒険家によってもたらされており、一攫千金のチャンスとして捉えられており、中世であれば宮殿に献上するための装飾用の金属鉱山の探索、近代でいうとアメリカのゴールドラッシュや砂金採りなどにそのありかたを見ることができます。

 

そうした鉱業についてですが、仕事内容を解説するとなるとどこまでを業界に含んで考えるのか、という懸念が生じます。

 

鉱石産出に関わる産業は多く、鉱山の採掘のための採掘会社や分析企業といった生産者がまず第一にあります。

 

こうした法人は主に鉱床の存在する土地の権利を所有しているアフリカ圏やアメリカの一部などの国有企業や州そのもの、あるいは広義にとらえるならば国家戦略として資源を確保するための政府団体も含まれます。

 

一概に言えることは、総じて動かす額が大きく、また既得権益の売買によって収益を得ているために新規の利権の参入に対して否定的な体制をとっていることです。

 

 

主な収入源としての投資

 

第二に、生産者と小売業者を繋ぐ仲買人や商社といった、卸売りや仲介の手数料によって利益を得ている企業が挙げられます。

 

 

生産者に近い位置にある法人ほど規模が大きい傾向にあり、日本においても大企業と呼ばれている企業の中には鉱山への投資を主な収入源としているものも多く、これらなくして鉄産業を中心とした業界は成り立たないと言っても過言ではないでしょう。

 

主な仕事内容はデスクワークと投資であり、輸出入に関わる外交や政治的働きかけ、小売企業に関わる渉外交渉、そして投資するべき採掘先の見極めなどが含まれているため、重労働かつ高収入。

 

ハイリスクかつハイリターンである傾向が強いと言えます。

 

 

生産者に近い小売業者

 

第三に、最終的に消費者に製品を届けるための工業、メーカー、小売が挙げられます。

 

この分類に属する法人や労働人口が全体の60％以上を占めていると考えられており、その運用も多種多様に渡っています。

 

 

こちらは生産過程をさかのぼるほど、すなわち生産者に近いほど安定性が高い傾向があります。

 

民間のニーズを長期的に見据えて製品製造を行えるメーカーに対し、需要の移り変わりの早い単一製品をベースとしたものの見方を強いられる小売業者という構造が存在する鉱業産業ならではの特徴と言えるでしょう。

 

 

大きな特徴としての再利用

 

そして最後に、この業界ならではの産業、中古市場が挙げられます。

 

多くの金属は加熱によって融解することや科学的反応によって成分を抽出することにより再利用が可能であるという特長があるために、金を中心とした投機対象の金属は他の業界に比べて新品と中古品の価格のかい離が非常に小さく、例えば24金(99.99％以上の純度の金)の2019年のレートを見てみると新品の販売価格の相場が1グラムあたり50ドル付近を推移していることに対して中古品の買取価格の相場が35ドル付近であることからもその特異性が伺えます。

 

 

 

それゆえ、再利用のための設備を持った業者が大きな力を持っており、消費者から生産者への還元が盛んにおこなわれています。